2016.2.27:ハッブル望遠鏡で見た青い銀河

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オリジナル英文URL:Hubble’s Blue Bubble

The distinctive blue bubble appearing to encircle WR 31a is a Wolf–Rayet nebula — an interstellar cloud of dust, hydrogen, helium and other gases. Created when speedy stellar winds interact with the outer layers of hydrogen ejected by Wolf–Rayet stars, these nebulae are frequently ring-shaped or spherical.

Text credit: European Space Agency
Image credit: ESA/Hubble & NASA, Acknowledgement: Judy Schmidt


ハッブルの青い泡

この独特な青い泡のようにWR31aの周囲に見えるのは、塵や水素やヘリウム、その他のガスでできた星間の星雲です。WR31aというのは、Wolf–Rayet星雲のことです。そこから噴出した水素の外側に速度の速い恒星風が干渉することで、この泡のような現象がおきて、しばしばリング状になったり、球状になったりします。

(訳者注)

記事中のWolf–Rayet星雲は、発見者の2人の名前(シャルル・ウォルフとジョルジュ・ライエ )をとった星雲です。

ウォルフ・ライエ星( -せい、WR型星、WR star、Wolf-Rayet star)とは、特殊なスペクトルを持つ天体で、青色巨星である。

1867年にフランスのシャルル・ウォルフとジョルジュ・ライエ によって、直視分光器で初めて発見される。ウォルフ・ライエ星のスペクトルは、通常の恒星に見られるような水素などの吸収線は見られず、ヘリウムや炭素、窒素などの非常に幅の広い輝線が見られるのが特徴である。

恒星の中心部の水素がすべてヘリウムに変換され、水素殻燃焼とヘリウム燃焼の段階に入ると主系列から外れて外層の膨張が始まる。

低質量星では膨張につれて表面が低温になるため赤色巨星となるが、太陽の40倍を超えるような大質量星では恒星風が強いため、膨張の過程で重力による束縛が振り切られ、水素に富んだ外層が吹き飛ばされ失われてしまう。そのため高温の内部が露出して青色巨星となる[3]。これが、ウォルフ・ライエ星である。吹きとばされたガスが星の周囲に散光星雲として輝いていることもある。

また恒星風(原文中では”stellar winds”)という言葉がでてきますが、星から噴き出す気体の事です。これが太陽だと太陽風になります。太陽風はプラズマ粒子や放射線と思われている人もいますが、太陽風も太陽から噴き出したコロナガスによるものです。

恒星風(こうせいふう)あるいは単に星風(せいふう)とは、恒星表面から吹き出すガスの流れのことである。

恒星は自分自身の重力によってガスを保持している。しかし表面でガスの圧力や輻射圧(光圧)、磁気的な圧力などが高くなることによって一部のガスが重力を振り切って恒星から放出される。

太陽からも太陽風という形で常時ガスが放出されており、太陽フレアの際には太陽風の速度が上昇する。

おうし座T型星においては、主系列星に移行する途中のある時期に急激に恒星風が強くなり周囲のガスを吹き飛ばすと考えられている。

赤色巨星の表面においては重力が弱いために容易にガスが放出される。そのため赤色巨星が恒星風として放出する質量は太陽よりも数万倍も多い。

また大質量星においては星の表面が高温であるためガスの圧力や輻射圧が高く恒星風が強い。このような星が恒星風によって水素の外層を失ったと考えられるのがウォルフ・ライエ星である。

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