火星の砂丘は、何故動くのか?
火星の地表で観測を続けているキュリオシティが、初めて砂丘に到達して観測を始めています。
火星の砂丘は、地球の砂丘が風で形を変えるように、微妙に形状が変化していることがわかっています。
Curiosity Rover Report (Dec. 15, 2015): First Visit to Martian Dunes – December 15, 2015
キュリオシティのサポート(2015年12月5日)
下の火星の砂丘の画像をクリックすると、別ページが開いてNASAのサイトの動画を再生します。
動画のセリフの日本語訳を参考までに掲載しました。
日本語訳(動画と併せてご参照ください)
私はMSLの科学者でベサニ・エルマンと言います。ここJPLの火星試験場から移動火星探査観測車両であるキュリオシティの最新レポートをお送りします。
現在キュリオシティはマウントシャープの低地あるバグノルド砂丘に移動してきました。
この広大な砂丘は、キュリオシティと高い山との間に広がっています。
そもそも砂丘は地上の砂の粒が、風に吹かれて形作られます。
地球上の砂丘は、ありふれたものですが、別の天体で動きのある砂丘の観測は今回が初めてとなります。
ここで火星観測衛星が軌道上からiRiseカメラで撮影した写真を見てみましょう。砂丘は数メートルも移動していることが分かります。これは過去数年間にわたり軌道上から砂丘の動きを観測していて分かったことです。
砂丘を理解するために、砂丘がどうして動くのか物理の実験をしてみましょう。
実際は、火星の大気は地球に比べると1%未満で、重力は1/3であることを考えると、ちょっと違ってはくるでしょうけどね。
バグノルド砂丘はカンラン石や輝石を含む玄武岩や鉱物類から構成されて暗い色をしています。
軌道上からの観測で、風が他の鉱物からカンラン石を分離して、鉱物を送別に分布させて砂丘を形成しているのではないかとみています。
最近、技術者たちはキュリオシティの走行性能を確認するために、大砂丘であるバグノルドフィールドの近くの砂上でテストを行いました。
これは今まで誰も行ったことがない、砂丘を上ったり降りたりできるのかどうかを確認するためのもので、とても重要な試験なのです。
一度キュリオシティはバグノルド砂丘の近くに移動します。そこで解析のためにロボットアーム伸ばして砂をすくい取ります。そして砂の粒の大きさによって鉱物特性や化学特性がどう違うのかを調べます。どうするのかといいますとキュリオシティ搭載の化学測定機器に砂を入れて解析するのです。
ちょっとしたデモとして、砂を入れた容器を持ち、解析システムに取り込んで、振ってみます。これがキュリオシティのロボットアームでやっていることとほぼ同じことなのです。
私たちが以前火星でできた解析方法は、こういう微粒子の解析でした。今回私たちはもっと荒い粒子の鉱物特性や化学特性の違いを調べることができます。
「バグノルド砂丘」計画の最初の部分はキュリオシティが新年の時分に実施します。数か月か、あるいはもっと長い期間、キュリオシティが砂丘を動き回り、シャープ山への途中の動く砂丘の端の所で最終的に完了します。
私はベサニ・エルマンで、キュリオシティのレポートをしています。都度更新しますので、いつもチェックしてくださいね。
参考:MSL(Wiki)
マーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory、略称:MSL) は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が火星探査ミッションで用いる宇宙船の名称である。探査機ローバー、愛称キュリオシティ (Curiosity) を装備している。
キュリオシティは、2004年に火星に降り立ったマーズ・エクスプロレーション・ローバー (MER)(スピリットとオポチュニティ)の5倍の重量があり、10倍の重量の科学探査機器を搭載している。火星に着陸後、キュリオシティは火星表面の土と岩石をすくい取り、内部を解析する。最低でも、1火星年(2.2地球年)は活動する予定で、これまでのローバーよりも広い範囲を探索し、過去と現在の火星における、生命を保持できる可能性について調査する。